シリーズ第9巻、いよいよ大詰めか。ずっと「今」を描くミステリーだと思って読んできたけれど、今回2020年の最初の新型コロナパンデミック下を舞台にしていて実に「今」であります。ロックダウンやソーシャルディスタンス、リモートワークなど現実の世界で起きたことがストレートに作品世界に反映されている。これまで現代を舞台にしていたいくつものシリーズ(ミステリーに限らず)でコロナを「なかったこと」にしているものは多かったけれど、ここまでストレートにコロナ禍を描いた、しかもほぼリアルタイムでというのは、やはり本シリーズの特色を打ち出しているなあと。
今回大きな転換点となるのは釘打ちステープル機の事件で殉職したアンカー・ホイア刑事が、カールの自宅の屋根裏にスーツケースを預けていたことが唐突に明かされ、中からは大量のコカインと現金が発見される。カール自身にも捜査の手が回る中、特捜部Qのメンバーはデンマーク社会の影に何年にもわたって存在し続けた連続殺人グループの犯罪を糾明し…という流れ。例によって狂信的な人物に率いられた謎の集団が出てくるとああ特捜部Qだなあと安心する(笑)今回は社会的に高い地位を占めながら悪辣な企業運営やモラルに反した行いをする人物を次々に暗殺していく「聖戦」的な犯罪者が出てきてリアリティショーのプロデューサーを誘拐する流れなのですが、その番組というのが「日本にまで売られている」旨の台詞があって複雑。そんな人間をさて助けるのかどうするのかというのが読んでて疑念だったんですが結果的に言うと
書かないでおこう(´・ω・`)
ともかく例によって犯人は死亡します。特捜部Qだもんな。あと今回酷い目に遭う係はゴードンくんで、これでローセさんと仲良くなったりするのだろうか?