国書刊行会のSF叢書「未来の文学」シリーズ、その中で短編アンソロジーとしては第散弾にあたるもの。なのだけれど、まあ古いSFだナーと思う。「未来の文学」自体最新のものでなくむしろ過去の埋もれた名作を掘り起こすような性格のシリーズで、伊藤典夫翻訳作品の自薦アンソロジーというところの意味があるのだろうけれど。
でもなー。
そのなかで唯一フレデリック・ポールの「フェルミと冬」はあとがきに
この作品に関しては「いま読んでも古さを感じさせない」はずである
とあるように、確かに今でも十分通用するものだと考える。米ロの核戦争とその後訪れる「核の冬」という実に古臭いテーマにもかかわらず、いま読んでもちゃんと面白い。そういう作品に出会えたときは、いつも嬉しくなるもので。タイトルだけ知ってたブライアン・オールディスの「リトル・ボーイふたたび」を読めたのも貴重ではありました。しょーもない話なんだけどなw
ところでM・ジョンスン・ハリスンの「地を統べるもの」は神がイギリスに高速道路を作る話なのだが、何を書いてるんだかさっぱりわからない。ほんとうにわからなかった。訳した本人もさっぱりだったようでこれまたあとがきには
本当に難しい作家で、本作を訳してかなりへばってしまい、他の作品は読む気力もなくなってしまったというのが本音である。
などとある。