ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

いぬいとみこ「ながいながいペンギンの話」

動物が人間と同様の価値観や思考方法を持つかどうかは極めて疑問なことだけれど、ファンタジー小説に於いてはその限りではない。洋の東西を問わず動物文学は昔からファンタジーの太い潮流のひとつだ。

本作は2000年の新装版だけれど、岩波少年文庫で刊行されたのは1979年のことで、さらにそれ以前、はるか昔の1954年に、元々は同人誌に発表されて世に出たものだとあとがきにある。それだけ長く、様々な読者に愛されてきたものなのですね。

お話しはシンプルなものでルルとキキのふたごの兄弟ペンギンが南極の夏に繰り広げるちょっとした冒険を3章にわけて書いたもの。その中で2羽というかふたりは疑問を持ち、前に進み、挫折を経験し、そして少し成長する。他のペンギンやクジラと出会ったり、トウゾクカモメやシャチに襲われたり、その模様は様々。そして随所に現れる「人間」の有り様やコウテイペンギンの島で描かれる「権力」の有り様に作者の視点が見えてくる。やっぱりこういうのは「寓話」であって、もちろん実際の南極の環境や生物の生態とは異なるもの、そういうものだと思って読めばうん、十分楽しいな。

 

朗読ってどうだろう?ペンギンと言えばもちろん…