- 作者: ロバート・ウェストール,越智道雄
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 1980/12/20
- メディア: 単行本
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以前宮崎駿のイラスト目当てで「ブラッカムの爆撃機」asin:4000246321を読んだことのある作家。児童書やファンタジー的な作風で、第二次世界大戦下のイギリス(と社会)を描いた作品が多い…らしい。本書は「ブラッカムの爆撃機」に収録されていた「チャス・マッギルの幽霊」と同じく、作者の分身とおぼしき少年チャス・マッギルの目を通じて見える、バトル・オブ・ブリテン時期の英国の地方都市に満ちる大人たちの不安と、高揚する子供達の心理を描いた、いわば英国版の「スタンドバイミー」ですか。
空薬莢や航空機の破片など「戦争の記念品」を集めて競う、いかにも戦時下の子供らしい他愛なさが、しかし墜落したドイツ機の尾部銃座から生きたままの機関銃を首尾良くせしめるあたりから急に話は危険な方向に転がり始める。子供達の暮らし、生活を決して綺麗事で書いていないのは良いと思います。何がリアルか解らないけれど「少年H」よりは良いだろう。別にあれは読んでないけど。
私設防空壕を拡張して自分たちだけの“機関銃要塞”を作ったりいろいろあって本物のドイツ兵を捕虜にしたりといった流れは、子供の頃ならだれでも体験したであろう「ひみつきち」の遊びと同じで共感を覚えるものです。紅一点のオードリーがちょっとカワイイ。当時イギリスで組織されていた国防市民軍や自由ポーランド軍のいささかピントの外れた行動なども興味深いもので誰か映画にでもしないかな。綺麗事のお話しじゃないんだけれどな…