ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

東京創元社編集部・編「創元SF文庫総解説」

近年はこういう資料書籍がよく刊行されますね。むかしからハヤカワはデータベース構築に積極的だったイメージがあるのですが、創元はちょっとおぼえが無い。専門の雑誌媒体を出してたかどうかの差なんだろうか。ともあれ、文庫としてはハヤカワより早く1963年に創元推理文庫のSFマークとしてスタートした創元SF文庫の国内外(というか国外内か)あわせて約800冊の内容を解説するものです。

自分が初めて読んだ創元SFはレンズマンかなあ。当時アニメ化があったけど、そのまえにジュブナイル版を読んでたかまあそんな流れでした。チンプンカンプンだったけどね(笑)

で、全体像を俯瞰するとやはり深いなあと思わされる。よく知ってるもの、タイトルだけ知ってて内容知らなかったもの、まるで知らなかったものなど様々ですが、読みたくなる本がたくさんあって困ります、いや困りませんね。あと池澤春菜嬢が解説担当してるタイトル、かなり自分の好みに合うぞデュフフ……

やっぱりハヤカワとはちょっと毛色が違うんだなとも感じました。開始当初は冒険SFみたいなのが多いのと、あと長期シリーズが多い。途中で翻訳が止まるものも多い中でヴォルコシガン・サーガが完訳できたのは僥倖だったのかもしれませんね。途中でやめちゃったんだけどね、読むのは(え そしてマイナーなものは本当にマイナーぽくて、「マイナーの金字塔」であるサンリオSF文庫のポジションにはならないんだなあ(ディックの割とキワモノぽいのはサンリオから移籍してる)。

移籍と言えばキャプテン・フューチャーが創元から出た時は驚いたけれど、それ以外にも他の版元から移ってきた作品が結構あるのね。徳間から移った「銀河英雄伝説」が国内作品第1弾だったというかそれまで海外作品しかやってなかったんだというのは、ちょっと意外だった。「惑星カレスの魔女」なんか元々新潮文庫だもんなあ。そのあたりの版権事情なんかはさすがに詳らかにはされていない。ここにも深い沼がありそうズブズブ

「天の十二分の五」「レッド・プラネット」「世界の果ての庭」このあたりは読んでみようと思います。しかし思うに、ハヤカワや創元のようなジャンルプロパーじゃないところから出たやつ(文春文庫とか)は、データーベースにも載らないんだろうな。