「ファッション&美容SF」特集。ファッションSFでも美容SFでもなく、この2つをセットにしたことで深みが増すのだろうな、と思う。服飾と美は様々な切り口に対応し得る。
分かる話と分からない話に差があり過ぎて、例えば対談・インタビューのページは何を言ってるのだかさっぱりわからん(笑)これなら侵略宇宙人と対話した方がまだリカ機を得られるかもしれない(´・ω・`)
もっとも分かったのは斜線堂有紀『お茶は出来ない並んで歩く』で、ファッションとは装備であり美容とは強化のことである。生きることは常に戦いであって、人はそのために自らを強化し装備を更新せねばならない。「ロリータファッションで参加するデスゲーム」というあまりに魅力的な題材をすべて背景で済ませて、戦友*1との同志的友情を軸に据えたのはすごい腕力。
どれも欠けることなくロリータブランドのものでなくてはいけないのに、全てを正規品で揃えようとすると十万を超える。こだわれば二十万円近くなる。高校生のバイト代では辛いし、社会人になったって痛い出費だ。それなのに、懐に余裕ができる歳の頃になると、ロリータファッションからは卒業という風潮になっている。
この構造は寂しく、納得がいかない
極めて軍装趣味に近いものを感じる。軍装趣味は年齢より一般社会常識との間で軋轢を起こしそうなものだけれど。おれ最後に買ったのスウェーデン軍迷彩上衣だったけど、着る機会も着ていく場所ももうどこにも無かったよ(´・ω・`)
池澤春菜『秘臓』は人の全身を包む「アンブレラ」なる膜状のデバイスが普及し、あらゆる男女が「美的」になることを約束された世界で真美を探求する……?話なのだけれど、ちょっとホラー・サスペンス風味でこれまでに無い作風。(この著者にしては極めて珍しく)三人称で記述されることの意味を考える。ファッションも美容も「装う」ものであって、カート・ヴォネガットの金言、
われわれはなにかのふりをするとそのものになってしまう。だから何のふりをするかは慎重に選ばなくてはいけない。
を、思い出しました。「装い」の無い、人間の真なる美はどこにあるのか、それは……
あとこのおはなし、ちょっとえっちなのです(・ω・)b
特集ではないけど「戦闘妖精・雪風」であまりにも無造作に戦術核ぶっ放したので、そこはクスクス笑ってしまった。フェアリィ空軍最低だな、やはり無人化するべきである( ˘ω˘ )
*1:デスゲームの戦友では無く、ロリータファッションの同志。