ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

日下部匡俊「ゼーガペイン 忘却の扉」

ゼーガペイン 喪失の扉 (朝日ノベルズ)

ゼーガペイン 喪失の扉 (朝日ノベルズ)

ゼーガペイン・オリジナルサイドストーリー第二弾。今更ですが前回の「忘却の女王」*1のパラレル世界的な設定にいまいとつ乗れなかったのは、もしも無限数の多世界解釈が存在するのだとしたら、戦いはなにも起こらずにキョウもカミナギも普通に幸せな学園生活を送っている世界が存在しても良いはずで、そうするとあの全26話のアニメ作品の中で必死に戦い、生きていたキャラクターの立場が無いよなと思ったからです。

その点若干危惧を抱きながら読んだのですが、今回はアニメで描かれなかった設定の補完をルーシェンというひとりのキャラを軸に、本編がスタートする前に何が起きていたかを記す「前日譚」の枠組みをしっかり守っていたので幸い安心して読めました*2。ネタばれは避ける方向で行きますとそうだなあ、マオ・ルーシェンというキャラクターはゼーガペインの登場人物のなかでもかなり重要な位置を占めている割にはあまり語られないキャラクターです。例えばOPフィルムで廃墟の上海を背に登場する画がよく流れて、それ自体は「上海サーバー」という彼の出自をイメージさせるものなんですが2度ほどかな?同時にロンドンの光景が映し込まれ且つ画面全体に激しくノイズが走るちょっと変わった画が流れました。これがずっと謎だったんですなー。なんらかの二重性を表現してるのかなと思いきや、特に本編では関連する事項が無くてね。


今回ようやく、それに類する記述が成されました。


ルーシェンはお茶中毒なのです。茶葉(彼の場合は烏龍茶)に含まれるタンニンが不足するとイギリスの若者のように路上で暴れ出すのです。


喪失の扉最高だった「タンニン袋の緒が切れた!上海市民舐めんなァッ!!」と叫んでロンドン塔を素手で殴り倒すルーシェンに目からホロボルトした



そんなシーンは無いが。


真面目な話、ルーシェンがいろいろコンプレックスなんだなーというのは掘り下げられていたように思います。そりゃガチ方向に走るわけだぜ。そして冗談でもなく、本当に読んでて涙がこぼれたのは…

『敵との戦闘はクロシオたちに任せて、きみたちはデータ回収を優先してくれ』
「了解」

>敵との戦闘はクロシオたちに任せて
>戦闘はクロシオたちに任せて
>戦闘はクロシオに任せて


こんな時に限ってクロシオ号泣AAが見つからないのはガルズオルムのしわざだ


本書のラストシーンでアイリンが立っている場所は、TVシリーズのラストでのキョウの立ち位置と表裏一体な気がしますね。それはカノウ・トオルが立っていた場所でもあるのか…

*1:http://d.hatena.ne.jp/abogard/20090619

*2:実は後日談だったりもする