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ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

大森望・日下三蔵 編「年刊日本SF傑作選 超弦領域」

超弦領域 年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)

超弦領域 年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)

2008年度版という事でこの年は伊東計劃が世を去った年であり、彼の作品は「From the Nothing,With Love」が掲載されている。「例えるならば私は書物だ。いまこうして生起しつつあるテクストだ。」この冒頭の一文を一体どんな心情で綴ったのか、正岡子規だな…

例によってわかったりわかんなかったりおもしろかったりチンプンカンプン(死語)だったりといろいろです。津原泰水「土の枕」は日露戦争からはじまる、ある奇妙な人生を過ごした人物の一代記で面白いんだけどさすがにこれはSFなんだろうかと頭を捻らざるを得ない。面白いからいいんですけど(笑)毎回一つはマンガが載ってるのはいつものことだけど、特に今回のBoichi「すべてはマグロのためだった」は非常にパワフルなSFギャグマンガで、マンガでなければ表現できない切り返しの疾走感、活字では到底成し得ないスピーディーな(且つ拡大的な)展開が良かった。マグロ乱獲問題という実に日本人の琴線に触れるテーマを描いた作者は韓国の人だそうで、このように才能のある描き手が表現の場を与えられない韓国のマンガ規制ってのは愚かなことだなぁ。

倉田英之「アキバ忍法帖」は内藤泰弘のイラストと合わせてエライ先生は好き勝ってなことが出来ていいですねぇと、まあそういう作品。面白いからいいんですけど(笑)“オタク十二人衆”との激闘を全て読みたい気分も無くはないですが、こーゆーものは出オチ感覚でずっぱり切り落とすのがエエのでしょうな。「A-BOY」なんて一瞬で誰も使わなくなったスラングが記されていたり2008年作品なのでラジオ会館が解体前だったり、今のタイミングで読むと興味深いところもいくつかあり。

そして掲載作品でいちばんお気に入りなのは小川一水の「青い星まで飛んでいけ」なんだけど、これ既読なんだよな。まーそれもまた、今のタイミングで本書を読んだからですが。