ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

はやみねかおる「そして5人がいなくなる」

児童書と一般書の垣根がどんどん取り払われている昨今を象徴するような一冊(とはちとオーバーか)もともと「ファウスト」誌に掲載されたコミカライズ版の作者を挿絵に起用していて、青い鳥文庫版のイラストと比べてみると面白い…かもしれない。

内容はひとことで言って面白かった。以前児童書にミステリーブームが波及した頃ずいぶん非難する声を聞いたことがあって(そして実際、本書はその頃の刊行なのだ)、いささか身構えていたのだけれど、そんな気持ちを恥じるほどに、単純に面白かった。

探偵がいて謎が起こり、推理がなされて犯人が明らかになり、事件は解決し日常は幸福に戻る。推理小説を読む楽しさの骨子とはこういうものなんだなぁと、述懐する。超絶技巧に走らなくとも、奇天烈な人物を競わなくとも、斬新さに拘泥しなくとも、

面白ければ、それでいいのだ。