- 作者: クリストファー・バックリー,青木純子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/09/30
- メディア: 文庫
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もしあなたが慈愛に満ちたヒューマニズム溢れる博愛主義的正義の味方のような人だったとして、JRの駅で視線を彷徨わせホームを端から端までうろうろ歩いている人間を見たら迷わずこう告げた方が良い「あなた、自殺はいけませんよ」
言われた方は言われた方で9割方はこう答えるだろう「とんでもない、私はただ喫煙所を探しているだけです!」
この本は原題を「サンキュー・スモーキング」といって近々公開される映画の原作となった。映画と小説はちょっと内容が異なるらしく、主人公が誘拐され全身に禁煙用ニコチンパッチを貼り付けられてあやうく死にかけるという、他に類を見ない展開にはならないらしい。
もっともこの作品ミステリーパートは非常に弱く、真犯人!とかトリック!は別にどーでもよろしい。
全編に煙のように(まるで喫煙所だ!)立ちこめる「ブラックユーモア」を楽しめればそれで真髄かと。
ブラックユーモアは楽しい。OKそれは認めよう。重要なのはブラックユーモアが楽しい社会というものは、それなりに病んだ社会なのだろうということだ。「スターリン・ジョーク」は旧東側諸国が生み出した優れたブラックユーモアの集大成である。さて、旧東側社会が健全で健康だと思う方はどれぐらいいらっしゃいますか?
「タバコによる肺ガンよりもコレステロールの過剰摂取で死ぬ人間の方がはるかに多い。だからタバコのパッケージにガイコツマークをつけるよりも、チーズにつけた方が賢明だ」
みたいな口八丁手八丁のインチキ詐欺師トークが楽しめる人なら面白い小説だろう。
私?私ですか??私はですね、
タバコは健康によくないです。家族にもよくない。友人にもよくないし社会にもよくない。世界全体に対してだって悪い。タバコのみに出来る建設的なことと言えば人より余分に税金を払って国家体制に奉仕すること(権力の走狗め!)と紙巻きタバコのフィルターをだだ流しにして未来の考古学者を失業問題から解放してやることぐらいです!*1連中は自殺志願者か人口抑制主義者ですよ!!
むかしまだ高校生の頃、環境問題に関する北野大の講演会で「タバコを吸う人には環境問題を語る資格はない」と言われてなるほど納得だと首肯したことがある。幾星霜時は流れていま現在。
…環境問題について、とくに語ることはありません(汗)
*1:なんでもタバコのフィルターは火にも燃えない地中でも分解されないで永遠に地中に残り続けるらしい。ソースはエライいい加減なので迂闊に信用しない方がよい