- 作者: ラヴクラフト,橋本福夫,大西尹明
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/04/28
- メディア: 文庫
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「ダンウイッチの怪」を含む第三巻は以前確実に読んだ記憶があるのだけれど、本書に収録されているとばかり思っていたブラックウッドの「柳」は入ってなかった。一体俺はどこで「柳」を読んだんだろう?早川ポケミスの「幻想と怪奇」だと思うんだけどあまりよく覚えてない…
それはともかく、英米編の掉尾を飾る今巻はそれでなくても傑作ぞろい。イーディス・ウォートン「あとになって」が幽霊そのものを目撃した時ではなく、あとになってからそれが幽霊だったと解った時の恐怖を描いているのはラヴクラフトとは対照的かなーとおもいつつ「ダンウイッチの怪」だっておっかないのは人間の顔がくっついてると解った時だしなあ、などと思う。ナサニエル・ホーソーン「ラバチーニの娘」(これは本当に傑作で、フォロワーの数にきりが無いと思う)ももう何度も読んでる気がするけれど「イタリアの男は女性を見たら必ず口説かなければならない」社会ではこのような悲劇を避ける手段は無いのだ!と今更ながらに(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
むかーし人から「お化け怖くないんですか?」みたいなことを聞かれて「俺ぁ人間の方がずっと怖ぇーよ」てな答えを返した覚えがある。この本に収録されている多くの作品もまた、怪異超常現象を扱いながらもその根底にあるのは人の悪意や無垢な残虐さかな、と思ったりする。
フィッツ=ジェイムズ・オブライエン「あれは何だったか?」に出てくる正体不明の不可視の怪物よりも、それをふんづかまえてグルグル縛って餓死するまで下宿に放置して責任は全部大家に押しつけて外国行っちゃう主人公はドイヒー杉にも程がありますねww。
ああ、人間は嫌だ。