ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ロバート・ウェストール「ブラッカムの爆撃機」

ブラッカムの爆撃機―チャス・マッギルの幽霊/ぼくを作ったもの

ブラッカムの爆撃機―チャス・マッギルの幽霊/ぼくを作ったもの

ドイツ人が皆マイスターである程には、イギリス人は皆マニアなんではなかろうか。なんでまた児童向け小説にヴィッカーズ・ウェリントン爆撃機なんてマニアックな代物が出てくるんだ(笑)*1
内容は、至って真面目。いわゆる戦場怪談というやつで、非現実的な事象を用いて現実的なテーマ性を持ち得ている。非現実的要素に現実的リアリティ、というか「リアルさ」*2を付与するのは丁寧に描写されるウインピー爆撃機の機内だろう。

表紙画は宮崎駿の手による物で、この本中短編3本に加えて「タインマスへの旅」という宮崎駿の漫画が掲載されている。目先の売り上げを図ったと勘ぐる向きもあろうがこれ自体非常に面白いし、この漫画の所為で本編内容への理解は少なからず深まると思う。
まあ漫画を読んで「宮崎御大もこんな戦争映画を作ってくれないかナー」と思ったのも、事実である(笑)

爆撃機もの、というのも映画「メンフィスベル」や「世にも不思議なアメージング・ストーリー」とか挙げてみればいろいろある。密閉空間に多人数が押し込められる状況というのは如何にもドラマ的ではあるし、空中という舞台はどこか非現実感を手繰り寄せる節がある。

やっぱ戦車には夢がねーよな、とか思ったりする←関係ないだろ。

*1:日本で言えば差詰め百式重爆が主役の児童文学みたいなものか

*2:模型用語