ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」14巻

今回は「ルウム編・後」。これまでは背景設定や年表でしか記されなかった事柄をドラマティックに俯瞰出来るというのはやっぱり面白い。「歴史年表」を「大河ドラマ」で視る、といったところか。
黒い三連星の駆るMS-06R*1レビル将軍の旗艦「アナンケ」を撃沈するところはなかなかの迫力で、忘れがちだがMSというのは元来対艦攻撃兵器だということを再確認させる。防御弾幕を避けあるいは弾き返し、敵艦至近に肉薄し巨大なマシンガン、バズーカさらには斧まで振るってこれを沈める。近未来の戦場で斬り込み白兵戦を実行する為のデバイスなのである。
レビル将軍の捕縛→連邦軍による救出→帰還の演説といういわば無言の「お約束」と化している一連のシークエンスも具体的に描かれたのは初めてで、これまで数巻に渡って克明に描写されて来たザビ家のキャラクターが、この半ば無理矢理な「枷」を自然なものにはしているだろう。マ・クベの階級がTVシリーズの大佐(≒連隊指揮官)から中将(≒軍団司令官)に格上げされているのはそれが自然であるというだけではなく、地球連邦軍のエルラン中将と同位であり、現在本誌で連載されている「オデッサ編」への橋渡しなのだなぁ…と。上手いもんだ。

・今回のポイント

ガンダム開始以来約30年目にして初めてレビル将軍のフルネームが!

なるほどデキン公王がエルサレムの故事を例に和平を望んでも箸にも棒にも引っ掛けない訳であるw

*1:従来の画稿とは違い、脚部は通常のザクのようにカバーされている