- 作者: トーマス・オーウェン,加藤尚宏
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/06/27
- メディア: 文庫
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なんでも解説によると著者は現代ベルギー幻想派四天王のひとりらしい。ベルギーの文壇事情など知らんが(笑)内容は良質な怪奇小説短編集。いや実はタイトルが「黒い王」だと勘違いして購入してしまったのだが実際は毛玉のことだった。
うそかほんとか怪談の怖さというのはふたつしかなくて「無いはずのものが在る」と「在るはずのものが無い」だとか。確か前者がろくろ首で後者がのっぺら坊だったか…ともかくその矛盾こそが不条理であり、条理では捉えきれない事柄を描くものが怪奇幻想の文学だと、そういう見本みたいな短編集だ。なんでそうなるのか解らない、因果関係が全く不明なところに突き落とされるような感覚があってそれが面白さかな?もう少し突っこむと因果の見えないものに因果律を当て嵌めることが宗教行為だったりするのだろうけれど、それと本書は特に関係がない。