ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

K.H.シェール「地底のエリート」

地底のエリート (1966年) (創元推理文庫)

地底のエリート (1966年) (創元推理文庫)

ひとりの将軍がバナナの皮で滑って転んだことがきっかけとなり全面核戦争が勃発してから174年後、生き延びた少数の人類は地底に築いた巨大シェルターの中で歪んだ階層社会を作り上げ…

ペリー・ローダンシリーズ執筆者のひとりとしても知られる著者による、ドイツ(いや西ドイツか)SF。さすがに古さは否めない…が、やはりこれは当時のモダンなフィクションである。世界の不安と人類の不信とを、パースペクティブに描き出すのはSFの仕事であった。核戦争というのは実に有効なツールだったと思う。あからさまに喧伝されていた人為的な死と破滅、タナトスまっしぐらですね。

翻っていまのSFには何が出来るんだろうな。サイバーパンク(とその傍流たるスチームパンク)までは自分にもなんとなくわかってた気がするんだけど、正直もうよくわかんないんだよな…

伊藤計劃を喪ったのはあまりの損失だと、なんども思う。