ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ディーン・クーンツ「フランケンシュタイン 野望」

フランケンシュタイン野望 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-12)

フランケンシュタイン野望 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-12)

クーンツ読むのもすっげぇ久しぶり。最後に読んだのは「ウォッチャーズ」だったかなぁ、アインシュタインがかわいい*1ヤツ。読まなくなっちゃったのはなんでだろう。アカデミー出版超訳がらみのドタバタとか、その辺が理由で離れたんだか、「愛と正義が勝つ」展開しかないのに疲れたのか、近年の著作には全然手を出して来ませんでした。

そんなクーンツの新刊読んでみようと思い立った理由は表4あらすじが素晴らし過ぎたためである。以下引用する。(強調は引用者による)

天才科学者フランケンシュタインによって創造された怪物は、現在まで生き延び、デュカリオンと名乗っていた。一方、フランケンシュタインも命を長らえ、ヴィクター・ヘリオスの偽名のもと、人造人間である新人種による世界征服を企み、ニューオリンズで研究を進めていた。だが、そこで凄惨な連続殺人事件が発生、デュカリオン、刑事カースンとマイクルの運命が交錯する。巨匠が入魂の筆致で描く新シリーズ、開幕


例によってクーンツ節でしたw「ニューオリンズに殺人鬼が二人もいるわけないだろう」などと誰かが言えば、二人いるのは当然だわなあ。生命を創造するという行為も初めて扱うテーマではない筈だけれど、今回は信仰とか魂の有無など、いつになくキリスト教的視点が強く打ち出されてる気がしました。保守的というより社会善とでもいえばいいのか、まーやっぱ「愛と正義」のひとだよな。ハーレクイン的な視点も、昔からだなあ。

そんな中にあってジョナサン・ハーカー刑事のキャタクターは実に印象に残る、むしろ愛すべき弱さである。デブのオッサンで勤務態度の悪い刑事でお腹に子供がいて新人種でついでに連続殺人鬼だが。あ、ひとつネタバレしちった。

元々連続TVドラマのベースとして書かれた作品なのだそうで、そのせいなのか何なのか、やたらと章立てが短い事が気になった。それほどのボリュームでもないのに97章もある。ドラマで言えば1カット1章ぐらいのペースでまーバンバンカメラが切り替わるのは昨今の洋物TV的なんだろうか…

全5冊からなるそうで現在本国でも刊行中。現代のニューオリンズが舞台ということでハリケーン“カトリーナ”にはふれるのか、そこんとこ気になりますね。

映画のイメージだけでなく、あらかじめメアリー・シェリーの原典を読んでおいたほうが良いような気もするんだけど、怪物はともかくフランケンシュタインのキャラクターは映画とも原典とも、まるで別物である。そっかー、世界征服か―。

*1:相対性じーさんではない