ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ケリー・リンク「スペシャリストの帽子」

スペシャリストの帽子 (ハヤカワ文庫FT)

スペシャリストの帽子 (ハヤカワ文庫FT)

なんだろう、すごく説明するのが難しいタイプの小説。幻想?不条理?いや、いちばん判り易く説明すると「柴田元幸が解説書いてるタイプの小説」なんだけどそれって説明と言えるのかな(笑)

現代の女性作家による現代のファンタジー小説の、極めて現代的な作品集だとおもう。収録されている作品はどれもみな論理的著述や辻褄の合わせ方など全く拘泥せずに実に自由な筆致で物語が展開される…ような。夢をそのまま記述したような作品、とでも言えるだろうか?ひとによっては大変論理的にストーリー展開する夢を物語のように視られる方もおられるそうで、それは実に羨ましいことですが。

極めて模糊としている作品であるにも関わらず、やはりそこに流れている思索は女性の観点そのもので、その辺は「雪の女王と旅して」が解り易いか。カイって駄目なヤツだよなホント。

真夏の夜の夢」とはいうけれどあんまりだだ暑い最中に読むよりは、秋の夜長に一編一遍大事に読んだ方が面白そうな。そして多分、一度内容を忘れ去るほど時間が過ぎてからもう一度手に取り「これってどこかで」とセルフデジャビュー感を味わえるともっと面白いような、そんな内容です。