ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

氷菓を評価する(3話)

千反田えるが自分の抱える一身上の都合を折木奉太郎に説明するシーンはもうちょっと落ち着いた演技に出来なかったんだろうか(笑)静かな喫茶店内で大声且つ大仰な身振りで話しているのはなんかこー、あんまり知的に見えないというか何というか、もう少し緩急つけても良いんじゃないかな。出てきた瞬間不審人物感丸出しの遠垣内先輩とかもアニメらしいっちゃらしいのですが、福部里志が単なるエキセントリックなひとで終わらなきゃいいんですけど。


原作では期末テストだったところを中間テストに変えて、けれどもその後の季節の移り変わりを丁寧に描いて衣替えで夏服になってたのは良かった。時間を進ませすぎない一方で、各パーツをちゃんと見せておかないと今回の謎解きの部品が揃わなくなるので、その点はちょいと不安だったのです。けれど古典部員4名の学力、成績順位に関する説明はばっさりカットされている。そのデータはあまりストーリーには関係ない事柄なんだけど、個々のキャラクターの性格や行動理念を象徴するような記述が面白かっただけにいささか残念…かな。こと原作第一巻の「氷菓」に関して言えば、物語の中核にある謎解きよりは周辺周囲のディティールの方が面白かったと思うんのでどうもね。テストと学力、学生の本分たるのエピソードを挿入した上で、では遠垣内先輩にはどんな個人的事情があったのか、そこは(敢えて)詮索しないところとかね。


とかく未成年者の法令違反描写を忌避する最近のアニメ業界にあって、「高校生の喫煙」という最もコードに引っかかりそうな事柄を、あくまで想像上の光景としてひと味変わった演出で描き、直接タバコを咥えた画は見せずに部屋に立ちこめる煙だけ、それも(伊原摩耶花の可愛らしい仕草一つで)嫌悪感を催すモノとして見せたのはなかなか巧みなことです。その上で今回も、その推理自体が正しいかどうかはあんまり問題にはならない。大事なのは文集のバックナンバーを手に入れることであって、遠垣内将司の秘密を暴くことではないと、そこは割りと重要だと思う。珍しく探偵が現場まで出向いて、物証を元に推理を組み立てるパートなのに(w


アニメ版では舞台が2012年の現在になっているのに関谷純の事件が起きたのは1967年のまま――ここの日付は動かせない――なので、原作では33年前だった事件が45年前の出来事になってしまった。格技場の耐用年数はともかくとして、はたして郡山養子はいま何歳になってるんだろう。


しかし考えてみれば「クドリャフカの順番」で入須先輩から教わる「他人へのものの頼み方」のコツを、千反田えるは既に「氷菓」の段階であらかた身につけてたんじゃないかと思う(笑)


そして次回は四人でプリント持ち寄って会議するだけの話になる…のか?それとも「大罪を犯す」をネジ込んだりはするのかなー