古典部シリーズ短編集。「氷菓」シリーズのアニメ化に際して単行本未収録だった「連峰は晴れているか」を含む。過去を振り返るような話が多いけれど、表題作「いまさら翼といわれても」では「ふたりの距離の概算」より少し時間の経ったところか。大日向友子が出てこないのはちょっと残念ではあるけれど、いつもの4人の日々のいろいろ、です。折木奉太郎がキャラクターとしてはすっかりゴールしちゃったような人間なので、代わりに伊原摩耶花がすげー頑張ってる印象(笑)「ふたりの距離の概算」では軽く触れられるだけだった、漫研をやめる際のエピソード「わたしたちの伝説の一冊」がまあ熱量の高い話で、河内亜矢子先輩が格好良すぎる。誰かー!誰か薄い本を早く―!!
摩耶花さんが福部里志にチョコ盗難の件で「おしおきをした」というのも大変、大変気になるところですが紳士。
謎の解決に重きを置かないのもいつものことで、それよりもむしろ千反田えるの好奇心にどう応えるかが重きを置かれていたのがこれまでだけど、「いまさら翼といわれても」のラストで遂に折木奉太郎は謎を解いても何も解決できない自分の無力さに直面する訳で、さてこの先どうなるんだろうなあ。謎解きよりも大事なことは山ほどあるぞ高校生。そして続刊では、できれば大日向さんを救ってあげてほしいなあとも、思うところなのよおじさんはね。