- 作者: 森瀬繚
- 出版社/メーカー: ぶんか社
- 発売日: 2006/09
- メディア: 単行本
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デモンべインがブームだったころに出版されたクトルゥフ神話の研究書。創元の全集に「デモンベインの原点」と帯が巻かれてそりゃそうなんだがそれでいいのかと苦笑したり疑念に感じたりしたことを思い出します。クトゥルフを系統立てて読み直そうかなと思ったのは多分やっぱりこの時期で、でも当時ちょっとこの本の傾向は合わないかなーと「エンサイクロペディア・クトゥルフ」*1とか「クトゥルー神話事典 第三版」を読んでたな。「設定」を知りたかったのか「小説」方向で行きたかったのか、いずれにせよ視野の狭い話でいまでは立派に (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー! してますハイ。
なるほど確かに「ナビゲーション」で、小説以外にもクトゥルフ神話の持つ様々な方向、多彩な可能性への道案内となっているような内容ですね。日本で創作活動される様々なクリエイターへのインタビュー、対談などが中心ながらコラム原稿も充実していて、日本でのクトゥルフ神話の受容と発展(もしくは拡散と浸透)に於いてグループSNEが果たした役割について第三者的に概括された文章などは実に読み応えのあるものです。あんまり無いよねこういうのってね。
友野詳へのインタビューで没になったアイデアとして語られている「あたしクトゥルフちゃん、10万と16歳。大宇宙学園高校の2年生」なるものはあーこりゃまんまニャル子さんだなあと、昔も今も狂気に魅せられる人間は皆同じような行為に及ぶのでしょうかは。
「混沌の図書館」の章で列挙されているリストはコミック・ライトノベルも多く含む書誌学的資料として貴重なもの。しかしながらそれら書籍・ゲーム類の入手の方法については刊行当時ですら絶版だったものが多い上にそれより数年を経た今では何をか言わんやですが、稀覯本を探して読むという行為そのものが既にクトゥルフ的と言えましょう。書痴に好かれる訳だな…
日本でのクトゥルフの導入や紹介ってやはり紹介者個人の嗜好、方向性によってずいぶん異なる受け止め方をされて来たと思います。現在でも入門者向けとして提示される国書刊行会や東京創元社、青心社の一連の書籍にもやはりそれぞれが強烈な「個性」の産物である。その辺を踏まえた上で荒俣宏や矢野浩三郎や大瀧啓裕や朝松健や安田均や菊池秀行や栗本薫やとにかくそこらへんのお歴々がクンズホグレツするような暗黒神話が読みてぇなあと、唐突に思った。「文学における超自然の恐怖」に載ってる「世紀の決闘」みたいなヤツ*2