- 作者: スヴェトラーナアレクシエーヴィチ,三浦みどり
- 出版社/メーカー: 群像社
- 発売日: 2000/11
- メディア: 単行本
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子供時代に第二次世界大戦を体験したベラルーシの人々の回想を記録したもの。著者は最近例の特需で急速に名前を知られた「戦争は女の顔をしていない」のひと。同書は未読だけれどずいぶん前に「アフガン帰還兵の証言」asin:4532161754を読んでいました。
うまく言葉にならない読後感を得る。直接の経験は生々しく、オーラル・ヒストリーを記録する意味も大きいことはよくわかる。ただそれを自分の言葉、感想として斟酌するのはどうにも躊躇われるのだ。
「戦争はいやだ……と皆に伝えてください。」
たぶん、ここだけを引用すればいいんだろうなと思う。本書が伝えるべきことは、このひとことに集約されている。
翻って、だ。昨今の日本で何故徴兵制度や集団的自衛権に関連して伝えられる戦争体験者の直接の言葉が広く社会に共感を得られていないと(少なくとも自分には)思われるのは、それらが皆当人の証言よりもそれを利用して自らの政治的立場を強化するための方便として用いられているからではないか…とか、そんなことを思う。党派の左右を問わずにね。
証言は貴重だ。けれど語り「継いだ」時点で何らかの変化は起こるだろうな。