同じスタッフが再集結ということである意味劇場版「四畳半神話大系」みたいだったけど(笑)だからこそ一層楽しめたように思います。原作未読で「四畳半神話大系」も知らなかったらチンプンカンプンかも知れぬが。
原作はこれが初森見で、初読当時に大いに楽しみ、そして(実におこがましいことですが)こういう作品を書ける才能に激しく嫉妬したことをよく覚えています。後にも先にも我が人生に於いて他人に嫉妬したってあれを読んだ時だけじゃあるまいか。
原作では一年間の出来事を四季を追って描いていくのだけれど、今回のアニメでは四季を追った出来事を一晩で描くというかなりアクロバティックなことをやってて、そういう不自然さを不自然と思わせないようなパワフルな映像が作られていました。「四畳半神話大系」のときは短い原作を1クール13話に広げたのとは実に対照的なことで、やっぱりこの2つはセットになってるんだろうなあ。これまでも幾度か企画があってポシャった(以前マンガがありましたね)とは初めて知ったのだけれど、このスタッフで映像化できたことは、実に僥倖。
キャスト陣についてはもう、これは本当に花澤香菜さんをみるための映画です。星野源の主演も良し、本職の声優ではない芸人や俳優の方々もむしろ映像にマッチした感じはあり、声優陣も良いところを多く揃えてその上で尚、これは花澤香菜さんを見るための映画ですと、極めて個人的に断言する。とても、とても素晴らしい演技をするようになりました。「ゼーガペイン」で見て以来(いや「LAST EXEILE」も見てるんだがさすがに認識してなかった)この10年でここまで大きく成長する様を見られたのは、大変幸福なことです。劇中黒髪の乙女がなりゆきから「偏屈王」の舞台に立ち、そこで「棒読みの演技」をはじめたときには感動に打ち震え、ましてや大スクリーンで歌声を響かせるなど「セキレイ」のあれからなんて成長したんだろうと、もうロマンティックエンジンがガンガン。ガンガン動くのよ。
かなり原作は脚色されているので、久しぶりに読み返さなきゃいけませんね。
ともあれ、良い映画でした。