ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「故郷から10000光年」

 

むかし何かのアンソロジーで読んで、読み返したくてもタイトルも著者も失念していた作品が本書に収録されている「故郷へ歩いた男」だと知って読む。この人の本も10代のころからいくつか読んでたけれど、本書は多分未読だったと思う。本国では一番最初に編まれた短編集だそうで、結構ドタバタというかガチャガチャした話が多い。読み返してみた「故郷へ歩いた男」も、やっぱりなんか、うーん、変な話ではある。たしかタイムトラベル物のアンソロで読んだのだったかな。梶尾真治の「美亜に贈る真珠」にちょっと似ているというかどっちが先だとかそういう話はまあいいか。どうもいまひとつ乗れなかったんだけど(さすがに古さを感じさせる話が多い)、「ビームしておくれ、ふるさとへ」は後々のいくつもの作品に、特に「たおやかな狂える手に」*1に通じるような情感があるなあと。

 

ティプトリーと言えばジェンダーの人というか、自分は「ジェンダー」という概念をティプトリーの文脈で知ったものなので、どうしてもそういう視線で見てしまうのは否めない。そしてアリス・シェルドンが書いたものだとあらかじめ判っているものだから、どうしても女性的(な作品)に見えてしまう。そういうものだな…

 

その意味では本書でいちばん面白いのは、ハリイ・ハリスンによる前書きかも知れない(笑)

 

*1:「星ぼしの荒野から」https://www.amazon.co.jp/dp/4150112673/に収録