昨年読んだサンリオSF文庫「パステル都市」*1の新訳版に加えてヴィリコニウムもの短編4本を収録。翻訳はどちらも同じ大和田始によるもので、40年以上の時を経て遥かに読みやすくなっている。というか新訳されると知っていたら(ナイトランド・クォータリーで短編が訳出されていると知っていたら)去年無理してサンリオ版買わなかったろうなあ(笑)
文章もこなれて版型も活字も大きくなり、実際ほんとに読みやすい。肩透かしの連続を食らっていたような「パステル都市」初読時の感想に比べて、なるほどこれは滅びゆく世界を舞台にした英雄不在の物語なのだなーと受け止められた。心境の変化のひとつにはアニメの「平家物語」を視聴し始めた影響も多分ある。世界が滅びるときには誰も彼もがただの人なんだろうな。
短編4つは捉えどころが難しいようにも感じたけれど、英雄不在のアンチヒロイズムというまなざしは共通しているように思う、マイケル・ムアコックが例えばエルリックでやったようなアンチ・ヒーローともちょっと違ってなにかこう、もの悲しいのだ。もういちど頭から読み返してみようと思う。そこでまた発見あるやもしれぬ。