感想としてはネガティブなものになります。そういうのが苦手な方、映画を楽しめた方は読まれない方が宜しいかと思います。
見る前から危惧することはあって、「予告編から想像する範囲を一歩も出ないような作品だったらどうしよう」と思ってたのね。それで実際見た結果が予告編から想像する範囲を一歩も出なかったのでちょっと困った。アーニャさんはかわいいしヨルさんは強いしロイドさんはスマートだ。原作からずっとそうなんだろうけど人間関係が既に強固に出来上がってるから、ポッと出のゲストキャラが現われてもそうそうバランスが崩れることはないのだなあ。
よく出来てるとは思うんですよ。レギュラーキャラ全員にちゃんと出番があって、ヘンダーソン先生もユーリ上司も全部出てきて台詞もあるしキャラの魅力は元のままだ。元のままだから「あーこれ前に見たやつだなあ」ってなっちゃうのかな。自分に自信を持てないヨルさんも、ちょっとずれた反応をするロイドさんも、全部わかってて何も言えないアーニャさんも楽しいのだけれど、それ全部前に見たやつなんだよな。完全オリジナルのボトルストーリーだからそうでなくてはむしろ困る、のだろうけれど。
なので千葉繁の演じた「うんこの神様」は異様に面白かった。これは今までに見たことないやつだった。そのシーンだけ別個に背景監督立ててて、制作サイドの力の入り様も異常だった。これはほんとうに映画館で見られてよかったなあ。お子様がね、すごく喜んでいてね。そういう観客層にはいい映画なんじゃないでしょうか。
だからまあ、わかりやすいんだよな。突然出てきてアーニャのお菓子を横取りする軍人(スナイデル大佐)というワルモノも「こいつは悪いやつだー」と印象付けるためには必要なシーンで、しかしアーニャが飲み込んだマイクロフィルムが完全にマクガフィンだったんで、何故それを第三国にもっていくと東西のバランスが崩れて戦争が始まるのか全然わからん。映画の中でスナイデル大佐がやった悪いことはアーニャのデザート横取りしたのとウェスタリアの内通者を射殺したことだけだ(あと幼児誘拐及び拷問か)。でもそれがわからなくても「こいつは悪いやつだー」と観客がわかっていればそれでいいんだろうなあ。
ボーファイターをはじめとするアクションもTVでは見られない派手さ……なんだけど、駅前の広場にお飾りになってたヒコーキがそう簡単に飛ぶのかよとか「先の大戦で飛行船を撃墜してたエース」ってぼーふぁぃたーで飛行船墜としって超簡単そうじゃね?とか、そもそも軍用飛行船って何に使うんだよ空中戦艦とか笑かすなよおまけになんで戦闘サイボーグが実用化されてるんだよとか、作品内科学技術のレベルが全然わからなかった。わからなくてもロイドとヨルとアーニャに「それぞれが相応に活躍できる舞台と相手役」が配置されればそれでいいのだ。というのはまあ、わかる。しかしスパイファミリーのアニメが始まったときに「バスルームの照明を灯すスイッチのデザイン」とかそういう小物、美術や背景設定の細やかなところに感心したものだから今回「飛行船の中からレーダー誘導空対空ミサイルランチャーがパカッと出てくる」あたりではわーすごいなーわー
って感じで(´・ω・`)
なんかあれね、最初のテレビアニメ版の「鋼の錬金術師」でこちらの世界にやってきたエドが第一次大戦の空中戦を目撃して「空を飛ぶ機械だと……」みたいに驚いてたけど、君たちさっきまでサイボーグと戦ってたでしょ。みたいな居心地の悪さがどうもな。
あ、本職声優じゃない俳優の二人が演じてる下っ端わるもの二人組は結構面白かったな。「なんでも占いで動く」「ツッコミを入れる」ギャグの天丼がよかったんだろうなあ。
なんだかんだ言ってよく出来てると思います。普通の人はこういう映画が楽しいんだろうなあ。でも、TVで豪華客船編見たばかりだからどうしてもあっちと比べてしまうよな……