ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ドナルド・E・ウェストレイク「忙しい死体」

忙しい死体 (論創海外ミステリ)

忙しい死体 (論創海外ミステリ)

ウェストレイクの初期(第7作目)長編作品。ハードもコミカルも両刀使いなウェストレイクがコミカル路線に手を染めだした頃の作品で、作品の位置づけなどは解説に詳しい。

25万ドル相当のヘロインを身に付けたスーツに隠したまま埋葬された運び屋の遺体からヘロインを回収するよう命じられたギャングのエンジェルは、スーツどころか棺桶の中身が空であることを発見する。死体はどこへ消えたのか?葬祭会社を訪れてみれば葬儀屋は既に刺殺され、戸惑うエンジェルの前に謎の美女が現れ…

あるモノを探してドタバタ騒ぎが引き起こされ、そのスラップスティックな状況を楽しむタイプのクライム・コメディ。モノ自体に実は価値がないというのはこの手の作品では定石で、ドートマンダーなんか基本それなんだけど、個人的に初ウェストレイクだった「踊る黄金像」asin:4151000755がまさにそんな内容でした。これ傑作なんだけど現在絶版なんだよねー。アステカ像10体と山ほどの登場人物でオーケストラみたいに盛りだくさんだった「踊る―」にくらべると本作は焦点となるブツは一つで登場人物も少なく、小じんまりしています。それでもストーリーのカギを握るのが「オンナ」である点、「マルタの鷹」の影響がより判り易く出ていると思う。いつでも鷹は無害な傍観者である。

60年代ニューヨークの様々な空気が知れて、そういう点ではいろいろ面白かった。