ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ジーン・ウルフ「新しい太陽のウールス」

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なぜだかamazonでの取り扱いが見つからないのでとりあえず記法だけ書いて置く。

別シリーズ扱いになってはいるが「新しい太陽の書」シリーズ待望の第五巻。表紙絵については以前触れたこともあり今更何も言わないが、背表紙が黒になってたのには参った。昔はなんでも青背白背に二分しちゃうようなパワー(?)が、SF文庫にあったと思うんだが…

何かを評するに対し「難解だ」という言葉をつかうのはどうも気に入らない。しばしば美術芸術の類に用いられるタームだけれど、どんだけ変なことを言ってるか、例にラーメン屋で親父に言ってみれば良い。

「店主!このラーメンの味は実に難解だな」

普通はカウンター越しに殴られる。「難解」が褒め言葉なのはホークスの球団史に於いてのみである。「あぶさんのいないホークスなんてもう南海じゃねーや」とか。本当にあぶさんがいなかった南海ホークスはどうすりゃええのんか。

閑話休題。とにかく、そういった事情はあるにせよ、褒め言葉としてこのシリーズには「難解」という言葉を送りたい。ただ開けた草原を歩んでいるだけでも迷路を彷徨い続けているようなセヴェリアンの旅路には何かこう、人を耽溺させるものがある。溺れていて良いと言えるか。最後まで読み進んでも果たして何かを解き明かしたとは感じられず、尚そのことが楽しいという作品も余り知らない。殊にエンターテインメントの分野に於いては。このことを人に説明するのは難しいのだけれど、真に異世界なファンタジーを創造されると、そう簡単には読解が出来ないのかもしれない。そしてこれは紛れも無く未来SFなのだ。

それが、楽しい。

本書を読んでる間夏風邪を引き込んだらしく、微妙に体調不良で若干の発熱を見た。お陰でうたた寝で見る夢が悉く意味不明な異世界ファンタジーみたいなのばっかりだったのは正直参った(苦笑)

<追記>
例えば死生観ひとつとってみても西洋的なものと東洋的なものって随分違っている筈で、それは「生き返る」のか「生まれ変わる」のかって単純なことでも、まあ無いんだろうけれど、真に西洋的な思想を中核に据付けられるとアジア人には早々簡単に理解できないんじゃないかとも思うんだ。