- 作者: 西崎憲
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/03
- メディア: 文庫
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おなじくちくま文庫で出ている「怪奇小説日和」*1とセットに(?)なるような一冊で、こちらは純文というか「短編小説」を集成したもので、ディケンズとか入ってる。とはいえゴーストストーリーもいくつか収録されているし、「異色」の言葉が示すように非日常・スーパーナチュラルな作品も多い。「小さな吹雪の国の冒険」は初出1906年というから100年以上前に書かれた異世界召還俺様TUEEEEE!的ファンタジー小説で、そんな昔からこのテーマはあったんだなあ。この作品の俺様は冴えない事務弁護士で、対してTUEEE人物でもないのだが(笑)
収録作品の中ではエリザベス・グージ「羊飼いとその恋人」がいちばんお気に入りです。現役を退いた女性がどうやって「第二の人生」を見つけ出すかというようなお話で、古臭いモラルに形作られたストーリー。けれどね、「モラル」ってなかなか古びないものでね。
そのうえで、本書一番の読みどころは巻末に収録された三本の小論文「短編小説論考」かと思います。小説とはなにか?短編小説では何を書くべきなのか?小説と「リアリズム」はどのような関係があるのか、そういったことを考えさせられる。
ジャンル問わず、創作やってるひとに是非読んで欲しいなあと。