マ・フと呼ばれる人工知性と人間そして人間以外の知性とのかかわりを描いた作品集。表題作は第8回創元SF短編賞受賞作で、年刊日本SF傑作選の「行き先は特異点」*1にも収録された作品を一部改稿したもの。それに加えて同一の世界ながら遥かな未来の時代を描いた連作短編「マ・フ クロニクル」からなる内容。ヒトの過ぎ去った時代に宇宙空間のヴォイド内で目覚めたマ・フ達のうち惑星Hに派遣された8人の個体の行く末を描いた「マ・フ クロニクル」のおだやかな流れと破滅と再生の円環はどこか「ヨコハマ買い出し紀行」をほうふつとさせ…は、実はしなかった。いま気が付いたw 読んでる最中は「俺は何故『ファンタジックチルドレン』をちゃんと視聴しなかったのか」について考えていた。何故だ。
お話の鮮烈さ、イメージングの強さに関しては表題作が圧倒しているのだけれど、それでもクロニクルの中でマ・フが初めて遭遇した「ヒト」が人間でもなんでもないという(読者にはわかる)仕掛けや、クロニクル最終話「巡礼の終わりに」の主人公が表題作と同じ「紅葉」という名のキャラだった時には、なにかこうSF的なワンダーを感じたものです。
人工知性は人工的でない知性に対してどうふるまうのか、自然な知性は不自然な人工知性をどう扱うのか。これもまたSFの永遠のテーマで、ヒトびとはなかなか英知に辿り着くことはできないのでしょうね。
人工痴性ってどうかな(ヒドイ