ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ジャスパー・フォード「クォークビーストの歌」

「最後の竜殺し」に続く「カザム魔法マネジメント」シリーズ第2巻。前巻が面白かったので続けて読んでみた。

 

abogard.hatenadiary.jp

シリーズ物ということで第1巻ほど設定的な面での驚きはないのだけれど、相変わらず活き活きしたキャラクター描写は良いです。どこか殺伐としたものが薄板一枚向こう側になるような感覚…は、前巻では存在だけ示唆されていたトロールが実際に登場するパートで如実に示される。いわゆる王道ファンタジー的なトロールとはちょっと違って、「上品且つ冷酷」みたいな、ちょっと異質の生物として描写されています。腰布一枚に棍棒持ってるところは王道ファンタジー的なトロールなんだけどさ。

で、今回の話のメインはカザム魔法マネジメントと並んで世界にもうひとつあるiマジック社とのあいだで橋の建設による魔法合戦を行うこと。前作で不慮の死を遂げたクォークビーストがこれにどう絡むかというと

 

あんまり絡まないなあ(´・ω・`)

 

などと思っていたらクライマックスでしっかり絡んで驚いた。それまで一見するとバラバラに見えたいくつかの要素が最後に綺麗にまとまって落着するところは巧い人なんだろうなあとは思います。それだけに、突然スター・ウォーズのジョークを差し込むとかそういうのはなあ。あと、例によってピンチに陥るカザムの面々が逆転のきっかけをつかむことになる要素があまりに唐突でご都合主義的だったのはちょっと気になる。

とはいえ”はかなきヘラジカ”の正体とその悲劇的な最期が明らかに幻体のそれだったので、本書は実質ゼーガペインだと言えます( ˘ω˘ )

まだいくつか明かされていない秘密と謎があるようなので、続巻を期待したいけれどどうだろう?著者のwikiみると続きは書いてるようですが。