ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

カート・ヴォネガット「カート・ヴォネガット全短篇 2 バーンハウス効果に関する報告書」

 

 全四冊中第2巻。刊行からしばらく空いたのはぶっちゃけ 忘 れ て い た からなんだけど、収録作のほとんどが既読であるにもかかわらず初読のように読めるのは、これはやっぱり忘れてたからなんだろうなー。モンキーハウスやバゴンボ読んだのずいぶん前だし、最近読んだ2冊はあんま印象残ってなかったしな。今巻では第一巻より承前する「セクション2 女」の他「セクション3 科学」「セクション4 ロマンス」に分類される作品が掲載されています。ロマンスの項目は次巻に続くようで、章の冒頭で解題されるいくつかの作品がこの本では読めないというその、どうなんですかこれ?ということになっていますハイ。いや全部読めばいいんでしょうけどね。

忘れてばかりとはいえそれでもいくつか印象に残ってるものはあって、とりわけ記憶に刻まれていたのは「永遠への長い道」で、うん、まあ、これ、ベタです。ベタベタです。なにか匂って来そうなほどです。愛、そしてモラル。そういうものが壊れていく社会を見続けるのは辛いだろうなあ。なんてことを考える。

お話としては女もロマンスも古臭い(「更新世から掘り出して来たような人物像だ」と評されたりする)なか、「科学」に属する話はいまでも普通に面白いのがいくつかありますが、しかしお話自体はあんまり科学的ではありません。それもまあ、いつものことですそういうものだ。

でもこの古臭さが、今後十年二十年と時を経て行くうちに、古典になっていくんじゃないかなとも思うんだよな。

 

余談。今回一番面白かったのは、小川哲による巻末の解説。