ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

井上晴樹「日本ロボット戦争記」

日本ロボット戦争記1939‐1945

日本ロボット戦争記1939‐1945

こんどは戦争だ!とかアジってみたくなるタイトル&表紙だけれど、中味は全く持って前掲「日本ロボット創世記」の続編。こちらは近年の刊行なので当然普通に流通している。刊行年度には開きがあるが、本来は双方併読されるべきものだろう。片割れが絶版品切れというのは如何なものか…とは考える。図版・索引などのボリュームを考えると文庫化などし難い本ではあるのだが。

苦言を呈してみたのも自分は幸い順序だって読めたから良いものの、何も知らずにこっちだけ読んでいたら、内容の意味するところを理解するのに苦労しただろうと、思うからだ。タイトルも表紙画も実にキャッチーで思わず手に取りたくなる本だけに。

前作が醸し出していたモダニズムな空気はだんだんと姿を消し、ミリタリズムの時代にあってはでは戦争用ロボット画が増えるのかと言うと必ずしもそうではない。ロボットもロボット的なものも、メディアの露出は減っていく。その一方で自動機械(例えば計算機だな)などは増えていったりで…まあその、言わば小松崎茂調なレトロフューチャーを期待しすぎると裏切られるかなとは。

筆者の「ロボット的なもの」の捉え方はいささか牽強付会で鼻白むような箇所もある。「豆潜水艇」ってロボット扱いできるものかなーと、読みながら思った。

そして人間魚雷「回天」の図版を見て打ちのめされる訳だ。

人が乗り込む「ロボット」は時折人を「部品」にするものだな。