- 作者: 藤崎慎吾
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/08/30
- メディア: 単行本
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おれたちの戦いはこれからだ!
と、いうわけで続き物だったのかコレハ。道理でやたらと「設定」を解説するパートが多い割にはストーリー展開がロボットアニメの最初の数話みたいなペースでしか動かないわけで。未来社会の技術や組織、イクチオイドと呼ばれる水中戦闘ロボットやオセアニア地域の神話伝承を巡るモロモロのあー、なんだろう伏線?いろいろとフックは出てるのに回収されないきらいはあります。続刊が出ればまた別なんだろうけれど、これ一冊では消化不良すぎる。他人には見えない妖精と会話する主人公の設定とか。
深海で戦闘するのになぜ人型巨大ロボかという疑問には、合気道もとい水中合気柔術で戦うからだという明確な答えが与えられます。イェーガー武士道みたいなもんだな。水中+ロボで「パシフィック・リム」みたいなのを期待して読んだのだけれど、いまんところはまだこぢんまりしたお話で、敵も味方も民間軍事企業の傭兵か。
あ、これ「大戦」でもなんでもないですやん。
メタンハイドレート採掘を題材にした企業間紛争もの、主人公の出自を「海上漂白民(シー・ノマッド)」という階層に設定して、ただ流されていただけの人間が自分の力で泳ぎ出す、話としてはそういうところなんでしょうね。しかしまー、ベタな展開は多くてだな、いかにも死にそうな兄貴分は死んでしまうし初対面で主人公をぶん投げたヒロインはそこそこちょろそうだし、司令は冷酷で妖精は謎でクライマックスで主人公が搭乗する新型機体タンガロアの新型具合もまあ良くあるタイプの人機一体モデルです。加えて敵の強キャラとその乗機が――
ベタ過ぎにも程がある(笑)
水中とロボってありそうでいてあまりない。近年では「絢爛舞踏祭」が思い出されますけれど、ドラグナーにサンライズの社内コンペで負けてその後富士見ファンタジア文庫で小説化された「海洋戦闘ダイバード」を未読のままにしていたのがいささか悔やまれる。いまさらあれを読もうとも、まあ思わないけどねえ。