ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

佐藤たまき「フタバスズキリュウ もうひとつの物語」

フタバスズキリュウ もうひとつの物語

フタバスズキリュウ もうひとつの物語

  • 作者:佐藤 たまき
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

フタバスズキリュウ発見50周年を記念して2018年に刊行された一冊。著者佐藤たまき氏は日本の首長竜研究の第一人者と目される、フタバスズキリュウことフタバサウルス・スズキィの論文記載を行った方なのですが、個人的には「むかわ竜」を鑑定して「これは首長竜ではなく恐竜の化石だ」と特定した(そしてそれを聞いた穂別博物館の櫻井和彦館長が小さくガッツポーズした)人だという認識でおります。その時の話は特に出てこないのですが、そういう人と人とのつながりを感じさせるような本でした。

内容はほぼ佐藤さんの自伝というか生い立ちというか、たぶんいちばん近いのは日経新聞の「私の履歴書」ですかね。そういう研究者個人の話であって、フタバスズキリュウ研究の話はあってもフタバスズキリュウの話、生態とか当時の白亜紀の情景とかそういうのは無いのでいちおう念のため。

ひとりの恐竜好きの女の子が、長じるにつれてもその夢を捨てずに研究者の道を選び、いかにして「フタバスズキリュウ」に国際的な学名を記載するまでに至ったか。大体そんな感じなんですが、国内外のポスドクを転々と渡り行く就職活動の話ばっかりだという感もある(笑)それだけ大変な世界で、大変な世界を渡っていくにはやっぱり人と人とのつながりが大事なんですね。縁もゆかりも大切です。若い方はそういうものを「コネ」と呼んで嫌う向きがあるかも知れませんけれど、人のあいだに脈をつなげていかないと社会性は育たないものですし。

そういう、いわば横のつながり(無論上下はあるが)の他にも、先行研究者たちによる時代を超えた「縦のつながり」みたいなものも読みとれて、恐竜の主体は恐竜だけれど、恐竜研究の主体は人間なのですと、そういう本ですね。首長竜は恐竜じゃありませんけれど。

 

しかしこの方同い年なのですね、それは存じ上げなかった。