ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

バート・S.ホール「火器の誕生とヨーロッパの戦争」

ガチだ。

異世界ファンタジー小説RPGに銃を出す時の参考にでもなるかな」などと軽い気持ちで読んでみたら臼砲の石弾が直撃したような衝撃を受ける。元本は1999年に訳出されていて、これまで自分が読んできたいくつかの記事の、これは元ネタだったんだなーと思わせる記述も散見された。内容は主に15~16世紀西欧地域での戦争における銃砲についてなんだけど、それらがどう用いられたか、どのような人々が携わっていたか、それらを成立させる社会はどのようなものだったか、とかく話は広大で深く、正直内容の全てを熟読できたとは言い難い。思うに日本の歴史で「鉄砲」といえば、種子島ポルトガル人が漂着とか織田信長の三段打ちとか、ストーリーというか「ナラティブ」*1がすっかり定着しているのだけれど、ヨーロッパのそれらには全然イメージがわかない。恥ずかしながら「イタリア戦争」とかまったく門外漢を通り越して無知蒙昧である(´・ω・`)

とはいえ、社会の変遷や築城術の進歩、弾道学からのアプローチやピストル騎兵の戦術などボリュームに見合った濃い内容であることも間違いないので、少しでも興味を覚えたら読んでおいて損は無いかと思います。中国で生まれた火薬が何故中国では有効な兵器となり得なかったのか、その辺にもスポットはあてられています。

基礎知識がまったく足りていないことを切実に感じたので、今度「ヨーロッパ史における戦争」でも読んでみるかなー。

*1:史実が実際にどうであったかとは、ちょっと違う「物語」