ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

2023-01-01から1年間の記事一覧

川村拓「事情を知らない転校生がグイグイくる。」⑮

事情を知らない転校生がグイグイくる。 15巻 (デジタル版ガンガンコミックスJOKER) 作者:川村拓 スクウェア・エニックス Amazon 日野くんに妹が産まれたり水口くんが笠原さんにデュクシされたり笠原さんがみんなに愛されたりもするけど主に運動会話です。4巻の…

スティーブ・ジャクソン「トロール牙峠戦争」

トロール牙峠戦争 (FIGHTING FANTASY) 作者:スティーブ・ジャクソン 新紀元社 Amazon 古典的なヒロイックファンタジー小説が読みたくなって。ゲームブック「ファイティング・ファンタジー」シリーズの世界”タイタン”で起きた戦いを描いたこの作品、本来なら1…

松田未来・※Kome「夜光雲のサリッサ 10」

夜光雲のサリッサ(10)<完全版> 夜光雲のサリッサ<完全版> (RYU COMICS) 作者:松田未来,※Kome 徳間書店(リュウコミックス) Amazon いよいよ最終決戦開始です、な第10巻。月に隠されていたギミックが動き始め「反撃の狼煙」は重力カタパルトの射点に移動し…

サラ・ピンスカー「新しい時代への歌」

新しい時代への歌 (竹書房文庫) 作者:サラ・ピンスカー 竹書房 Amazon これは面白い!読み応えある内容だった。ロックミュージックを主題に据えているのでそっち方面かなり疎いのだけれど、ロックの持つ精神性や反権力・自由意識というのは伝わった気がしま…

武石勝義「神獣夢望伝」

神獣夢望伝 作者:武石勝義 新潮社 Amazon 日本ファンタジーノベル大賞2023受賞作、いまはこういう言い方をするんですね、その作品に改稿を加えて刊行されたものです。架空の中華風異世界を舞台に歴史小説的なアプローチで描かれたファンタジー作品というと元…

エドワード・ケアリー「望楼館追想」

望楼館追想 (創元文芸文庫) 作者:エドワード・ケアリー 東京創元社 Amazon <アイアマンガー三部作>がずっと気になり、そしてずっと読んでいないエドワード・ケアリーのこれがデビュー作だと聞いて読んでみる。もともとは2002年に文芸春秋から出て2年後に文…

「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」見てきました。

公式はここ。前作の感想はこちらに。そっかもう4年経ってたのか。まず最初に書いておくと

カート・ヴォネガット「キヴォーキアン先生、あなたに神のお恵みを」

キヴォーキアン先生、あなたに神のお恵みを 作者:カート ヴォネガット 早川書房 Amazon ヴォネガットはいま天国におります( ˘ω˘ ) まあ変な本だ。本人の医療事故による臨死体験?をきっかけに、ラジオで放送された「死者との架空会見記」を活字にしたもの。…

「特別展 恐竜図鑑 | 失われた世界の想像/創造」見てきました 

公式。 東京では上野の森美術館で7月22日まで開催中です。英語表記すると”DINOSAUR DREAMS Imagination and Creation of the Lost World” なんだそうでともかく、

大森望・編「NOVA 2019年秋号」

NOVA 2019年秋号 (河出文庫) 河出書房新社 Amazon ツイッターでサメサメ言ってたら本書に収録されている田中啓文の「宇宙サメ戦争」を教示いただいて、読む。かなりの濃厚なパロディで偉い人は好き勝手出来ていいなあと思う反面、この芸風をずっと貫いて偉い…

空木春宵「感応グラン=ギニョル」

感応グラン=ギニョル (創元日本SF叢書) 作者:空木 春宵 東京創元社 Amazon エロいものに触れたときにただエロいエロいと言っているとコイツの脳味噌はエロスだらけかと思われそうなので、エロいものに触れたときは「火力!」と叫ぶことにしました。上坂す…

「少年と犬」見てきました。

公式。原作はハーラン・エリスン「世界の中心で愛を叫んだけもの」の末尾を飾る傑作で、表題作よりこっちが好きという人も多いと思われる。 世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1) 作者:ハーラン エリスン 早川書房 Amazon 1975年に映画に…

文:藤浪智之 絵:佐々木亮「きみが決めるストーリーブック ドラゴンカリバー」

www.daiso-syuppan.com うわさのダイソー100円ゲームブック。とういうわけでamazonの書影が貼れないので大創出版の商品ページを貼っておきます。小説というかまあゲームブックなんですが、簡単な内容とは言えこの値段でゲームブックが遊べるというのはちょっ…

「現代SF小説ガイドブック 可能性の文学」

現代SF小説ガイドブック 可能性の文学 (ele-king books) Pヴァイン・レコード Amazon 池澤春菜責任編集による「いま、読むべきSFはここにある!!」をガイドする本。 そしてもし何か間違いや行き届いていないことがあれば、全て私の責任です とあるので、海…

草野原々「大進化どうぶつデスゲーム」/「大絶滅恐竜タイムウォーズ」

大進化どうぶつデスゲーム (ハヤカワ文庫JA) 作者:草野 原々 早川書房 Amazon 大絶滅恐竜タイムウォーズ (ハヤカワ文庫JA) 作者:草野原々 早川書房 Amazon 進化とはデスゲームである。勝者は繁栄し、敗者は絶滅する。万物の根源は未来にあり、そこから「自ら…

原尞死す。

www.hayakawa-online.co.jp 沢崎シリーズの作者原尞が死去した。謹んでお悔やみ申し上げるとともに、故人の魂の冥福を祈る。 原尞は沢崎シリーズだけを書いた。長編5作短編集1冊(加えてエッセイが文庫2分冊)と、ただこれだけの作品数で不世出の作家となっ…

工藤吉生「工藤吉生歌集 世界で一番すばらしい俺」

世界で一番すばらしい俺 作者:工藤吉生 短歌研究社 Amazon 詩集というか歌集、短歌集です。これもまた全然読まないジャンルだ。ツイッターで紹介されて興味が湧いて、しかし身の周りの本屋にも図書館にも全然無かったものが、SFカーニバルで訪れた代官山の蔦…

ティプトリーJr./ル・グィン他「20世紀SF④ 接続された女」

20世紀SF〈4〉1970年代―接続された女 (河出文庫) 作者:ティプトリー,ジェイムズ・ジュニア,ル・グィン,アーシュラ・K. 河出書房新社 Amazon 中村融・山岸真編集による年代別傑作アンソロジー第4巻。先日開催された第2回SFカーニバルのイベント「サイバネティ…

大森望・編「NOVA 2023年夏号」

NOVA 2023年夏号 (河出文庫) 河出書房新社 Amazon NOVA初というか日本初の「女性作家だけによるSFアンソロジー」となる今回。前巻の感想はこちらに。今回はもう少し丁寧に1作ごとに見て行こうと思います abogard.hatenadiary.jp ・池澤春菜「あるいは脂肪で…

秋田麻早子「絵を見る技術」

絵を見る技術 名画の構造を読み解く 作者:秋田 麻早子 朝日出版社 Amazon SAKさんのところで知った一冊。詳しい内容はそちらを参照してください(また丸投げか!) sakstyle.hatenadiary.jp 絵の見方、解析の手法について説いた内容です。視線の誘導や画角、…

モーリス・ドリュオン「みどりのゆび」

みどりのゆび (岩波少年文庫) 作者:モーリス ドリュオン 岩波書店 Amazon これもまた岩波少年文庫で長く愛されている名作。おとぎばなし、幻想、絵空事、夢、希望、たぶんそういったことが濃縮されているタイプのファンタジーなんだろうなあ。あとがきにある…

いぬいとみこ「ながいながいペンギンの話」

ながいながいペンギンの話 (岩波少年文庫) 作者:いぬい とみこ 岩波書店 Amazon 動物が人間と同様の価値観や思考方法を持つかどうかは極めて疑問なことだけれど、ファンタジー小説に於いてはその限りではない。洋の東西を問わず動物文学は昔からファンタジー…

福永武彦「古事記物語」

古事記物語 (岩波少年文庫 508) 作者:福永 武彦 岩波書店 Amazon ファンタジーというか神話なんですが、「物語」と題されてるしまあファンタジー小説というカテゴリにしておこう。ちょっと児童文学を読みたくなって、あと池澤文筆一族初代の本って読んだこと…

「グリッドマンユニバース」見てきました。

公式。ただしくお祭り映画でした。TVシリーズのファンだったら(電光超人時代からのファンだったら尚更)いますぐシアターにアクセスフラッシュしてバトルゴーです! あと、これはネタバレなんですが

川村拓「事情を知らない転校生がグイグイくる。」⑭

事情を知らない転校生がグイグイくる。 14巻 (デジタル版ガンガンコミックスJOKER) 作者:川村拓 スクウェア・エニックス Amazon 順当に皆のリア充化が加速する夏休みの終わりと2学期の始まり。半年先には卒業を控えて、では全員が全員幸福を手に入れられるの…

若菜晃子編著「岩波少年文庫のあゆみ」

岩波少年文庫のあゆみ 1950-2020 (岩波少年文庫, 別冊2) 作者:若菜 晃子 岩波書店 Amazon カテゴリーに困るけれど、岩波少年文庫創刊70周年を記念して刊行された、いわばガイドブックで、史料的価値の高いものではあります。この分野にはさすがに疎くて本棚…

「シン・仮面ライダー」見てきました。

公式。 いやーよかった。実によかった。ゴジラ、エヴァ、ウルトラマンと良作続きだったのでハードル高めな気持ちでいたんだけれど、まったく期待を裏切られることなくそれ以上に楽しみ、興奮し、高揚してきました。 以下ネタバレね

ドナルド・E・ウェストレイク「さらば、シェヘラザード」

さらば、シェヘラザード (ドーキー・アーカイヴ) 作者:ドナルド・E・ウェストレイク 国書刊行会 Amazon ミステリーのタグつけたけれど、別にこれはミステリー小説ではなくて、普通小説です。訳者あとがきにもそう書いてある。 どこが普通の小説だよ(´・ω・`)…

伊藤典夫・編訳「吸血鬼は夜恋をする」

吸血鬼は夜恋をする: SF&ファンタジイ・ショートショート傑作選 (創元SF文庫) 作者:ヤング、マシスン他 東京創元社 Amazon 当初タイトルからホラーSFの作品集かと思ったけれど実際には副題にもあるように「SF&ファンタジィ・ショートショート傑作選」であ…

ダシール・ハメット「影なき男」

影なき男 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:ダシール ハメット 早川書房 Amazon これは本当に読んでなかった一冊。読んでみるもんですね、ハメットがこんな作品書いていたとは知らなかった。主人公は探偵ではなく、結婚した妻の実家が太すぎて既に引退し実業家…